マンガばっかり

マンガ批評

再びおおきく振りかぶって&再びフラワーオブライフ



★★★★★
私が最も注目しているマンガ家であるひぐちアサよしながふみの作品。

この度「おお振り」を8巻まで読んだ。
優勝候補との戦いが中心だが、本当にすばらしいと思う。
スポ根マンガ、野球マンガは数々あるが、今後「おおふり前後」で漫画史の記述は大きく変わったと認識されると思う。
三橋がいかにもキャラ立ちしていて、そこがちょっとリアリズムからは離れていると思うけれど、それにしても本当にしっかりと野球マンガを描いているのがいい(腐女子のターゲットにされているという話もあるけれど、これはスポ根を浴びるほど読んできた男たちにこそ読んででもらいたい!)。
誰も超人は出てこないし、魔球だってない。
超人的な体力や精神力でひっぱるのでもなく、それでもマンガとしてきっちりと完成されているのがまことにスバラシイ!

フラワーオブライフは最終巻の4巻を読んだが、4巻までのそれなりにフラワリーでリアルな世界観が、なんだかドタバタと展開して、粗筋だけ読まされるている印象を受けた。
「4巻で腑に落ちた」という声も私の近所からは聞こえてくるのだけれど、なんだか早く切り上げようとして終わってしまっているように思えて仕方がない。
同じ結末であってもいいのだけれど、その語り方があまりにも性急で、少なくともあと2巻分くらいかけてゆっくりと終わってほしかったと思う。