マンガばっかり

マンガ批評

るろうに剣心


★★★
和月伸宏がジャンプに連載していた全28巻の歴史もの。
ファンレターはほとんど女性からだった、というのも納得できる少女マンガ絵。
歴史をそれなりに踏まえ、しかし、あくまで剣心はヒーローでメチャ強い。
そしていつでも正義の味方なのだけれども人を殺めることはない…
絵もウマイし、ストーリー展開、キャラクターの設定等々もウマイ。
これが少女たちの心を掴んだのはよくわかる。
が、それ以上のものは感じない。
世の中の悪だけをセンセーショナルに描こうとする「ライフ」は、とても趣味の悪いマンガだと思うけれど、こういう都合のよい善ばかりを描いたマンガというのも、やはりあまり絶賛する気にはなれないのである。
剣を持つとはどういうことなのか。
殺すことこそなくても、戦いというのはとても残虐で、ずるくて、痛くて、きたなくて、クサくて… という現実(cf.シグルイ)を描くことのない剣豪ものというのも、私にはキケンな存在に思えてならないのである。