マンガばっかり

マンガ批評

ゆめの底


★★★★
岩岡ヤスエが同人誌で地道に刊行をつづけていた創作の単行本。
平成18年度文化庁メディア芸術祭審査員にも推薦されたらしい。
人々が見る夢の底には、思いを果たすことなく現実世界を後にした人々が集まる場所があり、ひょんなことからその世界に舞い込み、その世界のコンビニ店で働くことになった少女をめぐる物語。
土星マンション」の連載を続ける新進女性漫画家だが、同人時代の本作の方が、ファンタジーでありながら、なぜそのような空間を描かなければならなかったのかが明白で、その空間もなんでも可能な場所ではなく、いいこともあればわるいこともあるんだという至極まっとうな場所として描かれていることに好感を持った。
かわいいと癒しと脱力とファンタジーのスキマをついた作品だと思う。