マンガばっかり

マンガ批評

快感・フレーズ


★★★
新條まゆが少コミに連載し、性描写の多さから問題視されたコミック。
アニメ化されるも、エロい原作とはだいぶかけはなれていたという…
しかし、辛抱強く全巻を読み通して思うのは、「まぁ、悪くないんじゃない?」。
70年代の少女マンガ全盛時代には憧れのヒトと両思いになればそれでオシマイであったが、それは中学・高校生が両思いになってお付き合いするなどというのが夢のまた夢であった時代のこと。
女子高生の援助交際が日常茶飯の時代となると、少女マンガの世界でもべたなラブコメはさすがにできなくなってしまった。
そこで必ずしも誰もが経験していたわけでもない「性」に関心がシフトしたのは当然のことだと思う。
基本的な構造は、どんなことがあっても、ハーフで、金持ちで、頭がよくて、かっこよくて、人気バンドのボーカルで、スポーツができて… といういかにもな咲也が、「絶対の愛」の名の元に愛音を助けてくれるという典型的少女マンガ。
そこに性愛をからめて新味を出したものが本書なのであろうと思う。
ただ、後半になって愛音の将来、バンドの将来を見据える頃になると、さすがに絶対の愛だけではストーリーは続かなくなり、さまざまな人の思惑やら陰謀やらが渦巻く大河マンガに近づいているよう思え、読者も愛音と一緒に成長できたのではないかという気がする。
本作にほとんど描かれていない「女の子同士の連帯」をプラスすれば、NANAですね…