マンガばっかり

マンガ批評

僕の心のヤバイやつ

★★★★★

桜井のりお、の人気マンガ。
陰キャ少年が、現役モデルの美少女と接近するという設定。
こんなのあるはずがない、のだけれど、山田杏奈が天然、ということを考えれば、まぁ、ありかもな、と思えてくる。
第1話で、山田は陰キャ少年・市川に自分が食べていたお菓子の袋(中身はナシ)を渡して走り去っていくというシーンがあり、これは相当ヒドイ女なのかなと思って読み始めたが、ただこの子はお菓子が好きすぎるのだし、いらなくなったゴミ袋をどうしたらよいかまで頭が回っていないというだけの子であることがわかってくる。
たぶん、この二人は、いつまでもいつまでもこういう日々を過ごしていくのだろうけれど、まぁ、そういうマンガもあっていいんじゃないの? と思う。

(No.1182)

外見至上主義

★★★★

T.Jun Oarkという韓国人漫画家の作品。
いじめられっ子が、自分が寝ている間にはイケメンになった自分が活動するという一人二役コメディ。
ずいぶん暴力的だな、と思いながら読み始めたが、だんだん、みんな平和主義のいい人になっていっており、もちろんあり得ない世界で起こるギャグマンガではあるのだが、それなりのリアリティをもって迫って来た。
オールカラーで画面もキレイ。
しかし、日本マンガなのか韓国マンガなのか、翻訳も中途半端で、主人公の名前は長谷川蛍介、しかしラッパーの学生は今敏斗(コンビント)、才源高校(としもとこうこう)など、あまり日本的とは思いかねる名前が出てきていて混乱する。
建物や食べ物など、日本とは違った感じになるものもあるだろうが、そういったものは仕方がないにしても、名前くらいどちらかに統一できなかったのだろうか?
たしかに外国人の書いたマンガだと思われると買ってもらいにくいこともあるかもしれないが、それならそっちで徹底すべきだった。
外国のマンガだからこそ読みたいという人もいるだろうが、それならそっちで…
とにかく中途半端というのが、両方を狙っているようで、どちらをもつかみそこなってしまうのではないかと思う!
ただ、中身はとても面白かった。
韓国の漫画家の方が優れているとか、日本の方が優れているとか、そんなことは簡単に言えないと思うが、ほぼ日本人が独占していたマンガ・アニメの世界にそれ以外の国々の人が参入し、かなり質の高いものを作っていることは認めざるを得ず、読者としては面白いものを読むだけではあるが、出版社をはじめとする人々は、過去の栄光や伝統にとらわれることなくマーケットが世界全体であることを意識していかないと、日本人を満足させるコンテンツさえ日本人漫画家やアニメーターでは作れないことになってしまうぞ!
漫画やアニメがガラケーになる日のことを、ちゃんと想像しながら商売をしていくべきだと思います! (たぶんしない気がするけど…)

(No.1181)

ゴミ清掃員の日常

★★★★

滝沢秀一・滝沢友紀の夫婦によるマンガ。
滝沢秀一とは、東京の漫才師・マシンガンズの片割れ。
マシンガンズというコンビは知らないのだが、ゴミ清掃員の人たちがどんな思いでこの時代を生きているのかに興味があって読んでみた。
有吉のツイートにより注目されたのだというが、なるほどなとは思いながらも、予想もしていなかったような姿が見えてくるというマンガでもなかった。
奥さんがマンガを描いているが、初めてだったということもあって、決して読みにくいとか下手だとかいうことはなかったが、プロの<見せ方>ができていなかったということもあったのかもしれない。
ただ、ゴミ清掃員の仕事そのものについてはともかく、漫才師の気持ち、ゴミ清掃員の心情、携わっている人たちのエピソードなどには感銘を受けるものがあった。
交通誘導員ヨレヨレ日記』というのもあり、こちらは未読ながら、必ず接している人ながら、どういう思いを抱いているのかわからない人たちの声に耳を傾けることができるという意味では、悪くないものだと思う。
こういうのは「はやり」であったとしても、決して悪いことではないと思う。
少なくとも今はレベルをキープできている内容のようなので…

(No.1180)

あした死ぬには、

★★★

雁須磨子が現在執筆中の40代女子マンガ。
映画の宣伝会社に勤める本奈多子42歳。
仕事場での大きかったり小さかったりするトラブル、自分自身の年齢からくる精神的な事件、身体的異変を描いている。
帯では三浦しをんが「ものすごく共感」「うなずきすぎて、私は首が太くなりました」と書いているが、まぁ、そうなのかもな、と思う。
おそらく最大の共感は身体的な変化(にともなう心情)のあたりを指しているのではないかと思うのだが、残念ながら、そのあたりは実感をもって「わかる」ことができなかった。
女性が主人公の作品にも多く共感をもって読んできたのだけれど、まぁ、そういうのはしょうがないな…

(No.1179)

事情を知らない転校生がグイグイくる。

★★★★

川村拓のマンガ。
「死神」と綽名されるイジメられっ子・西村さんのことを、能天気な転校生・高田くんは、「え、死神? かっけー!」と思ってグイグイ接近するというマンガ。
ちょっと面白い設定だなとは思うものの、このネタだけで何巻も続けられるのかと思って4巻まで読んだが、続けられていた!
ここまで好意的な勘違いを続けられる存在なんていないとは思うけれど、でもまぁ、論理的には成立する!
誰かをイジメる話ではなく、イジメられている誰かを、変に正義の味方ぶって助けるのでなく、持ち前の天然パワーで助けてしまうという所が痛快!
所詮はファンタジーだろうけれど、『君に届け』みたいな感じで、悪くないと思う。

(No.1178)

スキップとローファー

★★★★★

高松美咲のラブコメ
『このマンガがすごい! 2020』で知った作品。
オトコ編の7位らしいが、作家も女性だし、主人公も女性だし、もうこれは「りぼん」に連載されてもいいような作品だとも思う。
イナカ出身の秀才少女、しかし運動神経ナシでちょっと常識なしが、都会育ちのイケメンで元子役俳優の男子と、ドキドキする話。
出て来る人々がわりにリアルで、そしていい気持になって読めるマンガ。
日頃、SNSで悲観的な記事を読んではコメントしたりリツイートしたりしているのだが、悲観的に生きたいわけではなく、平和な生活がしたいからなのです!

(No.1177)

夢中さ、きみに。

★★★★

和山やま、によるマンガ。
実際にこんな人はいないかもしれないけれど、いるかもしれないという高校生群像。
リアル漫画というよりは長めの4コマ漫画だろうか。
『このマンガがすごい! 2020』でオンナ編の2位にランキングされていたという作品。
こういうものを2位にする日本てスゴイ、こういうマンガを届ける作家がいる日本ってスゴイ。
日本スゴイ本や日本スゴイテレビが嫌いなのだけれど、こういうマンガに出会い、それらが好評価される時だけは、ネトウヨっぽく日本万歳と言いたくなります。

(No.1176)