マンガばっかり

マンガ批評

ひらやすみ

★★★★★ 真造圭伍の作品。ネット等で評判が良いので買ってみた。作者については、これまでに『森山中教習所』や『ぼくらのフンカ祭』などを読んでいたので知っていたが、ちょっとガロ系というか、オルタナ系といった感じで、そこまでよいとは思えていなかった…

大邱の夜、ソウルの夜

★★★★★ ソン・アラムの作品。1981年生まれの韓国人漫画家による二人の女性の物語。巻末のあとがきで、作者はこれは自分の話であるより自分がしたかった話だ、と書いている。まぁ、そういうものかなと思う。『82年生まれ、キム・ジヨン』が評判になり、文庫化…

アメコヒメ

★★★★★ 高松美咲によるアメコという得体のしれない女子が降ってきて、また、元の世界に去っていくという話。しかしSFというのではなく、そんな事件に翻弄される男子高校生・野呂と音成の友情とそのすれ違いの物語なのだろう。野呂の家は母が若くして自殺し…

ドカベン スーパースターズ編

★★★ 水島新司のライフワーク。明訓高校出身者たちがこぞってFA宣言したことから、プロ野球機構の総裁が山田世代を日本にひきとめようとパリーグに新しく2球団を設立(パリーグというとことが水島マンガ!)。それが東京スーパースターズと四国アイアンド…

あの子の子ども

★★★★★ 蒼井まもる、による現在連載中のマンガ。親も公認の高校生カップルが妊娠という事態を前にどう考え、どう動くかをテーマにしている。非常に真面目に、しかしマンガとして勘所もきちんと抑えながら愛について、性について、人生について考えさせる漫画…

FASHION

★★★★★ はるな檸檬によるファッション漫画。1983年生まれで東村アキコのアシスタントだったという。『ZUCCA×ZUCA』などで有名だが、本作が初のストーリー漫画なのだという。宝塚にしろ、ファッションにしろ東村アキコとかぶるし、出身が宮崎県というところも…

ドカベン プロ野球編

★★★ 水島新司のライフワークの続編。『ドカベン』を通読し、その後、『大甲子園』があるのだが、そこは家になかったので飛ばして、明訓高校を卒業してプロ野球に入団した山田世代たちの活躍を描いたものを読んでみた。当時のプロ野球選手が実名で登場し、山…

三拍子の娘

★★★★★ 町田メロメによるマンガ。『このマンガがすごい2022』に載っていたので買ったのだと思うが、登場するのは28、22、18という折原家の三人娘が主人公。母は亡くなり、その直後に父は娘たちを捨てて放浪の旅へ。どういう波乱万丈の、スリルとサスペ…

センチメンタルキス

★★★★★ 小森みっこ、によるマーガレット連載中の少女マンガ。大学2年生の祐菜と高校2年生の日和が、少しずつ接近し、そこに小さな事件が起こったり… という歯痒さで続いている。現在、6巻まで読んだところだが、これから幼馴染の亜蘭、そして、たぶんこれ…

バクちゃん

★★★ 増村十七のゆるSFファンタジー漫画で、宇宙からやってきたバクちゃんが地球でさまざまな人と関わりながら生きていくというもの。ファンタジーだが、単にファンタジーにとどまっておらず、外国人差別問題などを匂わせたりもしている。ただ、変に啓蒙的…

教室の片隅で青春がはじまる

★★★ 谷口菜津子によるオムニバス的に描かれた女子高校生たちの日常を描いたマンガ。ミュース星から来たネルという人物(?)もいたりするが、そんなアクセントも付けながらのきちんとしたよいマンガだと思う。ただ、スリルとサスペンスではないし、ペーソス…

左ききのエレン

★★ かっぴー原作、nifuni画による広告マンガ。広告業界を舞台にしたマンガというと、ホイチョイプロダクションくらいしか思い浮かばないが、人気だとのこともあり、おもしろそうだなと思って手に取った。しかも主人公がデザイナーだというのだから「ん、これ…

ドカベン

★★★★ 水島新司の名作、今さらながら…オンタイムで読んでいたドカベン・ファーストとも呼ぶべき明訓高校編。オンタイムなので、読みこぼしもあったように思うし、おそらく完結まで読んでいなかったと思う。明訓のような選手の数も少ない学校が無敗記録を伸ば…

手塚治虫アシスタントの食卓

★★★★ 堀田あきお&かよ による手塚プロダクションのアシスタントの話。考えてみればトキワ荘の人々や編集者による手塚の昔話は多いが、アシスタントの話は、そんなになかったような気がする。それもまとまって2冊も…堀田あきお氏については、実は知らなかっ…

おやすみカラスまた来てね。

★★★★★ いくえみ綾が男性青年漫画誌「スピリッツ」に連載中のマンガ。札幌のバーをまかされた24歳(とは見えない)の青年である十川善十(そがわ・ぜんじゅう)を主人公とした恋愛マンガ。青年誌への連載は、おそらく初めてではないかと思うが、もう男とか…

その着せ替え人形は恋をする

★★★★ 福田晋一によるギャルとマジメ君のギャップ漫画。クラス一のギャルが、実はコスプレに興味を持つオタクで、雛人形制作に関心を持つ男子が、なぜか衣装担当をすることになるという話。最初はコスプレ作成にまつわるラッキー・スケベ的な漫画という色彩が…

アオのハコ

★★★★★ 三浦糀によるジャンプ連載中のバスケ&バドミントン・ラブコメ。そういうと「タッチ」のようだが、まぁ、そういう感じである。作者は武蔵野美術大学卒の女性だが、それだけに男性と女性の心理を、それぞれ丁寧に描いていて好感が持てる。もちろん、こ…

パリピ孔明

★★★★ 四葉タト原作・小川亮漫画による三国志パロディ漫画。ネットで一部を読んで、「おもしろい!」と思って購入。三国志は横山光輝で読んだ程度だが、それでも、諸葛孔明がくすぶっていた歌姫に天下を取らせようという大仰な物語が、必ずしも三国志ギャグだ…

東京貧困女子。

★★ 中村淳彦のルポを小田原愛がマンガ化したもの。ルポに描かれていることは確かだと思うし、そうしたジャーナリズムは、きちんとやっておくべきだと思う。そういう社会的意義があるのはもちろんだが、ただ、このマンガは、要するに転落する女子を見て、哀れ…

満州アヘンスクワッド

★★★★ 門馬司・鹿子による満州を舞台にしたサスペンス漫画。史実的に、制度的にこういうことがありえたのかどうかはわからないが、アヘン密売によって金儲けをしたような闇社会はあっただろうし、軍が裏でそんなことをやっていた可能性もなくはない。エンター…

自転車屋さんの高橋くん

★★★★ 松虫あられ、によるイケメンのヤンキー自転車屋とOLの恋話。ギャップ恋愛漫画で、作者の「いかにも」な妄想に発したものなのだと思う。しかし、著者は相当のマンガ読みであり、マンガから様々な人間関係の奥義を会得した人なのだという気がする。妄想…

フェチップル

★★ るり原ズラチー、による人気マンガ。髪フェチ男子と背中フェチ女子が、お互いのフェチから愛を育むという話…たしかにここまで重度なフェチの人も、きっと世の中にいるかもしれないし、そういう性向のある家族というのもいるのかもしれないが、そういう人…

タコピーの原罪

★★★ タイザン5、によるヒット作。ハッピー星からやってきた宇宙人が出会ったイジメを受けて自殺を図る女の子の話。ネットなどで話題を呼んでいたが、うーん、どうなのだろう。小中学生向けのマンガだと思えばいいのかもしれないが、もう少しリアルに繊細に…

東大リベンジャーズ

★★★★★ 船津紳平による『東京リベンジャーズ』のパロディ漫画。『東リベ』作者の和久井健の認証ありというもの!講談社の東大出身社員の企画なのだという。東大の授業をモグリで受けていたことはあるが、東大生になったことはないので、どの程度リアルなのか…

地上の楽園

★★★★★ 田渕由美子が「最後のコミックス」としたマンガ。田渕はおとめちっくマンガを代表する漫画家だが、刊行は2021年1月。1954(昭和29)年生まれなので、たしかに退職してもおかしくない年齢ではある。収録作品は2003年に発表された短編を集めたもので、必…

コタローは1人暮らし

★★★ 津村マミによる天才少年マンガ。「ビッグコミックスペリオール」に連載中でアニメ化もされているという人気作らしい。電子コミック大賞でも男性部門賞を受賞したそうだ。幼稚園に通う4歳児のさとうコタローはアパートに1人暮らし。とてもしっかりした…

死役所

★★★★ あずみきし、による人気漫画でドラマ化もされたらしい。死んだ人が成仏する前に自分がどのように死んだかを確認する死役所を舞台にしたマンガ。陰惨でオカルトな感じを思い浮かべそうだが、そこまでに後味の悪いものではなく、死というよりも生について…

セキララにキス

★★★★ 芥文絵の少女マンガ。ぱっとしない女子がイケメン男子に惚れられるというテンプレものだが、絵のうまいイケメン彼氏につきまとううちに自分も美術が好きだったことを自覚し、ついには美大に進学するまでに至るという少女漫画版のブルーピリオド。美術専…

ニュクスの角灯

★★★★★ 高浜寛による明治開化期の美術商を扱った中編(全6巻)。毎回挟まれるエッセイが作者の知性とこだわりを見せ、そうか、なるほど、と思わせるところも面白かったが、なんといっても本編が素晴らしい。あまり言うとネタバレなのだが持ち主の未来を見通…

恋のはじまり

★★★★ 蒼井まもる、による少女マンガ。まぁ、よくもよくも学校一のイケメンがパッとしたい女子にハマるよなぁ、と思いながらも5巻まで通読。ただ超美少女のチマより、明るく頑張り屋のはっちに惹かれる男子の気持ちは、わからないではない。まぁ、それにした…